『また、同じ夢を見ていた』感想

『また、同じ夢を見ていた』感想

本日、2020年5月2日に映画『君の膵臓をたべたい』が地上波で放送されるということで、同作者の『また、同じ夢を見ていた』を紹介したいと思います。

発売当初は書店の新発売コーナーにズラっと平積みされていて、前作の『君の膵臓をたべたい』が大ヒットを博した経緯もあり、すでに読まれた方も多いと思います。

キミスイが好きな方にも、普段小説を読まれない方にもオススメしたい一冊!

 

あらすじと見所

本書は、女子児童、小柳奈ノ花が学校の課題で出された「幸せとは何か」について考えるお話。

親しい人には無垢で好奇心に満ちた瞳を向け、そうでない人にはひねくれた態度をとる奈ノ花。まだ小学生なのに、時に子どもとは思えない鋭い価値観や発想を見せます。

奈ノ花は年齢も生きてきた境遇も異なる三人の女性と交流しながら、「幸せ」の意味を考えていきます。

そんな本書の見所は大きくふたつ!

①奈ノ花視点を通して「子どもの世界」と「大人の世界」を考える

②「幸せとは何か」という難題にひとつの答えを出す

 

①「子どもの世界」と「大人の世界」の見え方

小柳奈ノ花は大人顔負けの鋭い観察眼を持っていたり、思わずクスっと笑ってしまうような皮肉な発言も挟んできたりと独特なキャラ。

しかし、いくら大人っぽい振る舞いをしても、あるいは早く大人になりたいという願望があっても彼女はまだ子どもなのです。

「子どもの世界」では普通なのに、どうして「大人の世界」では違うんだろう……という純粋な疑問に好奇心のお化けは手を休めません。

私も、大人になれば社会のいろいろなことが見えてくる、だから早く大人になりたいと幼少の頃は思っていました。

しかし、案外子どもの方が世界をフィルターなく視ているのかもしれません。歳を重ねるごとに周りから必要と言われている不必要な知識武装に身を挺し、本当は視野が狭くなっていくのかもしれません。

そんな風に奈ノ花を見てて思いました。

本書のテーマは「幸せの在り方」ですが、同時に「大人になるってどういうこと?」「成長する意味」なども考えさせてくれるの良書です。

 

②幸せとは

「幸せとは何か」……古代ギリシア時代の哲学から始まって、おそらく人類が万人にとっての満足な解答が出せない問題のひとつです。

幸せの価値観は人、時代、国、文化によって異なるからです。

なので、本来この問いには、

「幸せの形は人それぞれ」か、
「解答不可」

の二択で提出するのが一般的なのです。

そんな中、この本は幸せについての一つの答えを提示しています。

もちろん、その答えが絶対的なものというわけではありませんが、私自身読んでいた当初、クライマックスの言葉がストンと胸に落ちたのを覚えています。

まだ世界の醜い部分を知らない純粋無垢な小柳奈ノ花という女の子が、必死に考えて出した答えだからこそ大きな説得力を生んだのでしょう。

未読の方は、ぜひ小さな女の子が辿り着いた世界の真理を感じ取ってみてください。

 

評価

そんな訳で、本日は住野よる氏の『また、同じ夢を見ていた』の簡潔な紹介レビューを書いてみました。

私も住野氏の小説は好きで、刊行されている小説は全て目を通しています。その中でも本書はお気に入りの一冊です。

本当に幼い子どもの頭の中を覗いたような台詞が、本当に幼い女の子がしゃべっているような文体で描写されています。

小説のようで、道徳の副読本のようで。様々なジャンルが入り混ざったような不思議なテイスト。読書感想文にも最適な一冊。

とにかく名言が多いです。強烈でインパクトのある台詞ではなく、自然と体に馴染むような名言です。読めばきっとあなたにもささる言葉が見つかるはず。

文庫本も発売されておりますので、お手に取ってみてはいかがでしょうか?

漫画版もあるようなので、私も近いうちに読んでみます。

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