喫茶ステラと死神の蝶 感想

喫茶ステラと死神の蝶 感想

ゆずソフトさんの『喫茶ステラと死神の蝶』をプレイしてみましたので、今回はそちらのレビューになります。

率直な感想としましては、

いつものゆずソフトさんが楽しめる良作。

涙を誘う場面もありますが、シリアスの比重はそれほど重くなく、軽快で気持ちのいいラブコメを見せてくれる。

 

キャラクター攻略

明月栞那

最初に攻略したのが栞那√ちゃんでした。

物腰が柔らかいですが、主人公をからかうイタズラっ子な一面もある栞那ちゃん。
下ネタを躊躇わずに入れてくる場面も随所に見受けられて思わず笑ってしまいます。

けれど、仕事は真面目にこなし、主人公である昂晴の相談に乗ってくれる優しい子。

死神として何年にも渡って生き永らえる彼女ですが、死神特有の魔性や傲慢さなどはなく、素直で良い子という印象を受けます。

さて、栞那√の見所は大きく二つに分けられます。

一つ目は、死神としての栞那自身に関わるストーリーです。栞那√が始まってわりと早くクライマックス的なシーンが訪れます。ここは涙腺が緩むポイントです。

そして二つ目は、主人公の昂晴に関わる部分です。どちらかというと栞那√の力点はこちらに置かれている気がします。

過去のとある一件から、昂晴はどこか父親に余所余所しい態度を取ったり、遠慮したりします。父の和史も息子との距離が掴めないまま今日まで来てしまいました。

特別な理由がなくても、あるいは、心の整理をつけたつもりでも一度根付いた苦手意識が燻り続けて人間性がこじれることってあるよね、というのが再認識させられます。

そんな高嶺親子の和解のシーンには胸を打たれます。

温かい『家族愛』が見られる栞那√でした。

 

火打谷愛衣

本作のムードメーカー的存在。明るい性格ですが、かといって鼻につくほどアグレッシブなタイプではなく、周りの空気を敏感に感じ取れる優しい子。

基本、このゲームは純粋で良い子しかいません。企画の趣旨から外れそうですが、もう一人「味の強い」ヒロインがいたらけっこう深みが出たかなと思います。

そんな愛衣ちゃんのストーリーは『友愛』について描かれています。

部活の友達とぎくしゃくした雰囲気になり、優しい性格の愛衣ちゃんは自分から距離を置くことを選びます。友人からしたら自分は見捨てられたと考えてしまいます。

結果、ボタンの掛け違いが、すれ違いを生んでしまいます。

そんなノベルゲームでありがちな話を本作のテーマに結び付けて展開される素敵なお話です。

ラストのまとまりもスッキリしていて、後味の良いお話でした。

 

墨染希

年下幼馴染で神社の娘。目新しい属性は無いですが、やっぱり王道のキャラ設定は強いなって思いました。

キャラにしても、シナリオにしても、私は希ちゃんが一番好きでした。

付き合う前のデートシーンもドキドキしましたし、『母娘愛』をベースに置いたラストは必見です。

正直、希ちゃんのルートをやれただけでも、本作をプレイして良かったなと思える程でした。

振り返れば、『喫茶ステラ』は希ちゃんから起こされるシーンから始まります。ユーザーの心を掴むのに最も重要なのは序章です。

自然とゲームに入り込めたのも希ちゃんの魅力が大きく貢献していたからだと思います。

 

汐山涼音

本作のサブヒロイン。良ゲーは、サブヒロインがメインヒロインと同等、もしくはそれ以上に魅力的であるという鉄の掟がありますが、ゆずソフトさんはやっぱりサブキャラの作り方が上手い。

涼音さんは休日は気怠げですが、仕事に関しては妥協を許さない姿勢がかっこいいです。

昂晴が困っている時に栞那がよく助け舟を出してくれたと記述しましたが、それを別の角度から案じてくれたのが涼音さんでした。

大人ならではの芯のある台詞をズバッと言ってくれるシーンが随所にあり、社会人の私でも心を打たれたり、納得してしまう発言がいくつもありました。

決して格言botキャラではなく、経験則に裏打ちされた大人の意見を言ってくれる頼もしい人です。

きっと、こんな先輩や上司の隣で働いてみたいな~と思ったステラユーザーも多かったのではないでしょうか。

 

四季ナツメ

最後はナツメちゃんです。”孤高の撃墜王”という、これまた難攻不落キャラにありがちな肩書が付与されていますが、その名に恥じない涼やかな風格を見せます。

クールな性格のなので、その分付き合った後のデレ加減が反則級に可愛い。クーデレ属性の方は是非プレイしてほしいキャラです。

個別√としては、愛衣・希√のようなドラマチックな展開ではないですが、人と人との交流が描かれたハートフルな内容。テーマは『隣人愛』に近いですかね。

立ち絵での会話シーンで一番ドキドキさせられたのがナツメちゃんでした。頬を染める、服の袖を握ってくるなどの何気ない仕草がめちゃめちゃ可愛いです。

個人的にはもう一歩踏み込んだラストを期待していただけに、完走後は物足りなさを覚えましたが、『愛情とか、感謝とか、そういう素直な心を伝える』という喫茶ステラのテーマを考えると、主張を適確に表現したシナリオだったと思います。

 

その他の見所

フローチャートが便利!

フローチャートによって分岐・回想・差分の回収がしやすいです。また、コンフィグも非常に細かく設定できる親切設計。正直、ここまで必要ないでしょ……と思うくらい設定項目があります。老舗メーカーにして常にアップデートを続けるゆずソフトさんだから為せる技。初心者の方も玄人の方も快適にプレイできますよ。

 

声優さんの演技が素晴らしい

声優に関してはベテランの方から今注目の人までバランスよく起用されていました。演技のクオリティも高いです。

サブキャラについても、たとえばミカドは流石と言うか、安心して聴けるハマリ役だなと思いました。

 

OPと聖地について

ゆずソフトさんはOPにアニメーションを起用してくれるので、プレイ前からテンションが上がります。というか普通にアニメ化もしてほしいです。

また、発売直前に壁紙(背景)と聖地について一悶着ありましたが、すぐに軌道修正して予定通りマスターアップしてリリースしたのは流石でした。

今は時期が時期だけに、無事にマスターアップしてユーザーの手に届くのが何よりうれしいですからね。

 

まとめ

というわけで、『喫茶ステラと死神の蝶』のレビューでした!

ゆずソフトさんというと、高校生や大学生などの若い年齢層からの支持が厚いイメージあります。

「これから美少女ゲームを始めたいけど何をしたらいいか分からない」という入門者の方は、とりあえずゆずソフトさんの作品を一本やってみるのをオススメします。

ゆずソフトさんのゲームは基本的に万人受けするシナリオに、ストレスフリーでプレイできる環境が備わっているからです。

もちろん、今回の喫茶ステラも例に漏れず初心者の方も安心して遊べます。

ただ、エロゲ歴の長い紳士淑女の皆様については、買って損はないですけど、もしかしたら「ああ、いつものゆずソフトさんね……」と若干の物足りなさを覚えるかもしれません。

それはそれでブランドイメージが世間にしっかり定着し、毎回安定したクオリティを発信できていることの裏返しなのですが、「今回のゆずさんは一味違うな!」というブレイクスルーを今後に期待したいですね。

『喫茶ステラ』は共通&個別√ともにボリュームがありますので、在宅時間が長くなりがちな今のご時世にやってみるのはいかがでしょうか。

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